舞台は、南太平洋のツバル、イタリアのベニス、アラスカのシ シマレフ島。気候も文化も異なる島で生きる人々の普通の"暮らし"に焦点を当て3年がかりで撮影された大作です。絆を育む祭りや、長年受け継がれる伝統工芸、水辺の暮らし。美しい旅行記のような映像が静かに私たちに伝えることは、とても残酷で恐ろしい気候変動の事実なのです。ガンガンと耳に響くような声高なメッセージがないことにより、観る側の感性にすべては委ねられています。エグゼクティブプロデューサーには是枝裕和が、企画に参加しています。
●海南友子監督メッセージ
私は今回、この作品で“失われゆくもの”を描きたいと思いました。足元の氷河が消えてしまったように、気候変動の影響を受ける島で は、長年築いてきた生活文化や伝統など、さまざまなものが消えゆく運命をたどろうとしています。それらをよりリアルに感じてもらうために、なるべくそのままに近い形で記録しました。余計な演出やナレーションはありません。風の音や人々の笑い声に耳を澄まし、ゆったりと作品と対峙してもらいたいのです。そして、“情報”ではなく、“心”で受け止めてほしいのです。私たちの何が失われようとしているのか、を。
2022/03/01